“何も言わなくていいの?本当にこのままでいいの?”


もう一人の私が呼びかけてくる。

そうだ。言うんだったら今しかない。


私は決心した。


「涼…。私ね、涼のこと好きだよ。友達としてじゃなくてね。すごく好き。」


黙ってコーヒーを飲んでいた涼はあからさまにびっくりして私の事を見返してきた。

「あーあ、言っちゃった。なんかすっきりした。えへへ。」


「なに自分だけすっきりしてんだよ!え!?本当に?」


「もう言わないよ。しーらない。あっ、電車来た。」

ちょうど私の乗る電車がみえてきた。

突然目の前に涼の顔がとびこんできた。


「言い逃げはずるいと思うんですけど。」


そう言って涼はそっと私にキスをした。


「おっ、おれのほうも電車きた。じゃあ、またね。」

涼はそのまま行ってしまった。


私は何がおこったのか理解できないまま涼が走っていくのをみていた。