ピピピピ…


メールの着信音で目が覚めた。

「こんな夜中に誰…?」

うつろな気分のまま携帯をひらくと今まであった眠気が一気に吹き飛んでしまった。

 涼からだ。

“起こしちゃったらごめん。明日、朝練ないんだけど、よかったら少し話しない?コーヒーぐらいおごるよ。”

自分でも気持ち悪いくらいにやけているのがわかった。

うれしい気持ちがばれないように必死に冷静を装って返信した。

“いいよ。朝、いつもの場所で待ってるね”

それからはあまり寝付けなかった。

 朝、私より先に涼は駅に来ていた。私は何だか恥ずかしくてうつむきかげんのまま近づいていった。

「おはよう。」

いつもと変わらないようにあいさつした。

「おはよう。昨日は夜中にごめんね。あれから寝れた?」

少しも悪そうにしていない口調で涼が言った

。私は涼のこういう所も好きだ。

まるで私が浮かれ気分で眠れなかったことを知っているかのような言い方。