朝、私はまっすぐ涼の所まで歩いていった。

「おはよう。」

「おはよう、いい天気だね。」


笑顔で空を見上げている涼をみたら、意気ごんでいた気持ちがひるんでしまいそうになった。


“負けちゃだめだ。”


そう自分に言い聞かせて大きく深呼吸をした。

「ねぇ、この前のことなんだけど…」

「え?この前?なに?」

「だから…その…」

「ん?キスしたこと?嫌だった…?」

私は大きく首をふった。

「よかった。いきなりごめん…自分でもわからないんだ。」

涼は困ったように言った。

私は何も言えなかった。

色々聞きたい事があったはずなのに、文句の一つでも言ってやるつもりだったのに…聞くのがこわかった。
そんな私を接したのか涼が聞いてきた。「これって浮気なのかな?浮気ってどっからが浮気なんだろうね。」

「難しい事言うのね。だいたい私は浮気は絶対しない、本気しかしないもん。」

「俺だってしないよ。本気しかね。」

「じゃあ、涼がこの前言ったことって何だったの?私の事好きって。本気なの?それっておかしいよ。矛盾してる。」