も、もう、無理。

あたし……立てない…………。





先輩の行動についていけないあたしは、

先輩のたくましい胸板によりかかって心臓が激しく鼓動しているのがおさまるまで待つ。



「かわいいな~、手鞠ちゃんは」



……嘘ばっかり。

そんなこと、みんなに言ってるのに。

まるで、あたしが特別みたいな言い方をする。


先輩はとっても意地悪だ。



そう思っても、口には出せない。

あたしはひたすら先輩の規則正しい心臓の音を聴いていた。



「さあ、もうそろそろチャイムが鳴るね。

手鞠ちゃん、立て…………」


先輩の声が途切れた。


なに?



先輩の顔を見れば、視線はあたしとは違う方向を見ていた。