「昨日は……数学の小テストがあったんです。
休み時間もテストの勉強したのに、
点数が悪くって、居残りさせられちゃって……」
半分本当。
だから、全部が嘘じゃない。
これでいい。
この言い方なら先輩は疑わないから。
「そうなんだ。
手鞠ちゃんが来てくれるの、とっても楽しみにしてたんだよ?
寂しかったなあ~」
……嘘ばっかり。
違うよ。
先輩はあたしがいなくても平気なんだもん。
だって、女の人なら、綺麗な人は先輩のまわりにたくさんいるから。
落ち込んでいると、空中に浮いたあたしの体が、すとん、って下ろされた。
周りを見れば、そこはたくさんの木に囲まれた裏庭だった。
もう、裏庭に着いたんだ。



