∮ファースト・ラブ∮


「…………ひっく……ひっく。

ずびー!!」


絶え間なく流れてくる涙と鼻水を何度もふいて、かんで……。







…………すっきりした。






だってね、泣いてたってはじまらない。


時間は待っていてはくれないんだ。


悲観的になっていたって、あたしが泡になのも止められるわけじゃない。


だったら…………。



もう、泣くのは終わり。


明日こそ、今日渡せなかったチョコレートを先輩に渡すんだ!!



そのためには泣いてちゃダメだ。



カバンの中に入れていた手鏡を取り出せば、目は真っ赤になっていた。


このまま家に帰れば、間違いなくお母さんとお父さんに心配されちゃう。



でもでも、もう暗くなってきたし……。


しょーがない。

なにか適当な理由をつけて泣いたってことにしよう。




なんたって、あたしのお父さんとお母さんは、あたしのことをとっても心配してくるから。


あたしって、そんなに頼りなく見えるのかな?



違うね。

お母さんとお父さん、あたしをとっても愛してくれてるから、心配なんだよね。





お母さん。


お父さん。


勝手に消えること、決めてしまってごめんなさい。



でも、これだけは本当なの。

お母さんとお父さんの子供でよかった。


あたしね、今、とっても幸せなんだ。






ごめんなさい。