あー!!
もう、最悪!!
なんでこういう時に限って居残りなんてさせられるの?
くっそ~、野山め~!!
野山先生は、数学の先生だ。
最後の授業が数学だったために起こった不運な事件勃発。
――そう。
何を隠そう、別に隠してないんだけども。
あたしは数学が大がつくほど苦手なのだ。
今日はよりにもよって、数学の小テストの日だった。
テストの点数が、あまりにも悪すぎて……そのための居残り勉強。
小テストと同じようなものを解くのに、今の今まで時間がかかってしまったというもの。
数学なんて、なんであるんだろ。
だって、日常で使うのは、足し算と引き算、掛け算、割り算でしょ?
なのに、xとかyとか何よあれ?
普段つかわないのに……。
時計の針はちょうど六時を指そうとしていた。
麻生先輩、もう帰っちゃったかな~。
こんなことになるのら、昼間でもいいから先輩に会ってチョコレート渡すべきだった。
まさに、後悔先に立たず、とはこのことだ。
おおう。
今日、ひとつ賢くなったよ。
やったね。
ってそれどころじゃなかった……。
机いっぱいに広げていた教科書やら参考書やらを一気にカバンに詰めこんで教室から先輩のいる3年8組の教室へと走った。



