手作りチョコレートはいたって簡単な方法だった。


まずは湯銭で板チョコを溶かす。

次に気に入った型の容器に入れて、冷やして固めれば終了~。


「できた!!」

「はい。

あとは冷やすだけだよ。

お疲れさま」


今、あたしは台所に立って、5個の小さなハート型にチョコを流し込み終わった。


先輩、喜んでくれるかな~。


お母さんとあたしの作業を後ろで見ていたお父さんは、なんだか悔しそうだった。



へっへ~んだ!!

見たかあたしの料理力を!!


あたしはお父さんの不器用とは違うもんね~。



「綺羅ちゃん。

後でチョコ渡すね」


お母さんがそんなお父さんに恥ずかしそうにほっぺを染めて言った。


「あ……ああ。

さんきゅ」


お父さんもお父さんで、お母さんほど表情はわからないものの、やっぱり心なしか顔は赤い。



はいはい。

あたしが悪かったよ。

イチャイチャしてください。





あたしは台所から部屋に戻った。



あたしは……きっと、あんなふうにはならない。

先輩とは、あんなほんわかした感じには一生ならないだろう。




そう思い知れば、やっぱり胸が痛みだす。


わかってるけど……やっぱり……苦しいな。