休憩中でザワついていた教室が一気に静かになった。
麻生先輩のクラスみんながあたしたちに注目している。
「手……出されてもいいです」
あたしは麻生先輩の肩を持った。
だって……知ってる。
麻生先輩があたしをオモチャとしか見ていないことなんて。
あたしを……そこらへんの女の人と同じように思っていることも。
知ってるから…………。
「いいんです」
どうせ、この命はもうすぐ消えるから……。
いいんだ。
だから先輩を悪く言わないで!!
あたしは麻生先輩の首に両腕を巻きつけてお猿さんな先輩を睨(にら)みつけた。
「お譲ちゃん……」
お猿さんな先輩は、あたしのことをそう言った。
カチン。
なんだろう。
バカにされた気分になった。
「お譲ちゃんじゃないです!!
あたしにはお母さんとお父さんがつけてくれた大切な、華原 手鞠っていう名前があるんです!!」
言ったとたんだった。
コツン。
麻生先輩があたしの肩に頭を乗っけてきた。
――――へ?



