女の人は、とっても綺麗な人だった。
長い黒髪に、透き通るような真っ白い肌。
まるで、どこかのお姫様みたいな、綺麗なひと。
あのひとが久遠さんの彼女なのかな……。
そう思えば、チクリと胸が痛んだ。
「ごめん、ごめん。
ちょっとひと泳ぎしてたら綺麗な宝石に目が入ってね」
ちらりとあたしの方を見て、久遠さんは言った。
へ?
宝石って……もしや、あたしのことでしょうか……。
「もう、久遠ったら、また他の女の人に目がいったの?
信じられない!!」
女のひとは口をとがらせて怒っている。
その姿はとってもかわいかった。
久遠さんが好きになるのもわかる。
そう、思った。
ズキン。
あたしの胸はさっきよりもひどく痛んだ。
そこであたしは気がついたんだ。
久遠さんに…………恋をしたんだって…………。



