ど、どどどどどど、どうしよう。

恥ずかしい。



キスマーク!!



何か……何か隠すものは?

隠すもの!!!!!!


あっ、そだ。

ボタンを一番最初っからハメればいいんだ。


「手鞠ちゃん、麻生くんが来たよ」


玄関からはお母さんの声がする。

タイムリミットだ。


「う、はーーーーい」


最初のボタンまできっちりとめた首元は締め付けられる感じで苦しいけど……まあ、キスマークを麻生先輩やあいちゃん達に見られる方が恥ずかしいし、いいやこれで。


等身大の鏡の前でくるりと回転して身だしなみチェック。



これでよしっと。



部屋の電気を消して麻生先輩が待っている玄関へと急いだ。




そこには、すでにスーツ姿のお父さんとエプロン姿のお母さんが待機していた。

玄関のドアの前には、麻生先輩もいる。

麻生先輩は、相変わらずカッコいい。

黒の制服姿はやっぱり素敵だ。


「おはよう、手鞠ちゃん」

……鼻にかかった声も素敵デス。

そして何より、優しい笑顔がとっても綺麗なんだ。


思わず見惚(みと)れてしまう。