∮***

Side:
    .+*華原 手鞠*+.
   .+*Temari Kahara*+.

















「ほげえええええええええ!?」



朝一番に鳴くのはニワトリじゃなくて……何を隠そうこのあたし。


「ほげえええええええええ!?」

「手鞠(てまり)ちゃん? どうしたの?

早くしないと、麻生(あそう)くんが迎えにくるよ?」


閉まっているドアの向こう側からお母さんの声が聞こえてくる。


知ってる。


もうすぐ麻生先輩が家にやって来る時間だってことは、よ~っく、わかってる。


だからこそ、こうやって唸っているわけだ。

時間は朝の8時ちょうど……。



今日から一緒に登校するんだ。


えへへ。

大好きな人と一緒にいられるって、とっても嬉しい。

…………なんだけど……今のあたしはちょこっと複雑だったりする。





え?

それはなんでかって?


……う~んとね、理由は、あたしの目の前にある等身大の鏡。


鏡の中に映っているのはもちろん、あたし。

だけど…………。