∮ファースト・ラブ∮


あたしの背中が先輩の方へと強い腕で引き寄せられる…………。



麻生先輩の唇があたしの口から離れると、首筋を伝って鎖骨へと流れてきた。



ちゅっ。

「!!」

鎖骨が…………麻生先輩に吸われた。


びくん。


お腹がのけぞってしまう。

「あ…………」


おまけに……変な声も出して…………。


「あそう……せんぱ…………」

何がなんだかわからなくなって、王子様の名前を呼んだら…………。



「残念。

続きはまた今度だね」


ぐいっ。

麻生先輩はそう言って、あたしの腕を引っ張った。

砂地に横たわっていたあたしの体が宙に浮いたと思ったら、砂地に正座してちょこんと座っていた。


あたしの目の前には、優しく笑う麻生先輩がいる。


「あ、あの……」


――――『続き』の意味がわからなくって、麻生先輩に訊こうと口をあけたその直後。



「手鞠――――――!!」

「手鞠ちゃ――――――ん!!」


あたしの耳に……懐かしい、あたたかなふたりの声が聞こえた。