∮ファースト・ラブ∮


だって、だって腹立つもん!!

勝手に死んだと思い込まれてさ。



「お父さん?

聞いてるの?

だいたいね、いっつもいっつも、お父さんは短気なんだよ!!

だから、お母さんに怒られるんだよ?

前の回覧板のことだってね……」


回覧板のこと……それは2ヶ月前……。

日曜日に、男の人が家を訪ねてきてくれた時だった。


その人は見たことない人で、でも、お母さんと仲良く話していたの。


お父さんは、ものすんごくやきもち焼いて……でもって男の人に食って掛かった事件。


その人、近所に住むおばあちゃんの息子さんで、回覧板を届けに来ただけっていうオチ。




まったく、まったく……。


お父さんの短気にも困ったものだ。






「ちょっと待て回覧板の件は俺と百合……手鞠しか知らないはず……お前……本当に手鞠なのか?」


「そうだって、さっきから言ってるじゃん!!

いい加減にしてよね?」


ほんと。

いい加減にしてほしい。