「……せ……んっぱい……?」 あたし…………消えてない? 消えて……ないの? 夢……じゃない? 「……久遠……先輩…………」 ゆっくり口を動かして言った言葉は、かすれていた。 目の前にある、右目下の黒子に手を伸ばし、そっと……触れてみる。 夢じゃないことを祈って――――。 現実であることを願って――――。 伸ばした指の先は………………柔らかい感触があった。 そして、あたしの手は力強い手に握りしめられる。