『そうだよ。
さあ、お行き。
君は、まだここに来てはいけないんだ。
さあ、お還りなさい。
君の、待つべき男(ひと)のところへ――――』
「手鞠ちゃん」
また、『てまり』と呼ぶ声が聞こえる。
鼻にかかった声だ。
くるおしくって…………愛おしい。
あの……………穏やかに……そして…………笑う声は、とても………あたたかいの…………。
…………!!
思い…………出した。
…………んぱい?
あ…………そ……う先輩?
………………どうして……。
なんで忘れていたんだろう。
忘れるなんて、できっこないのに…………。
だって………………だって、あたしは…………。
――麻生先輩!!



