「先輩!!」

あたしはまた、抗議をした。


「うん。

仕方ないよ。

すでに注目されてるわけだ。

これ以上注目されても問題ないよ」


にっこり笑ってスルーされた。



はぐ。

もう、もう無理デス。


あたし……もう撃沈シマス。



満面の笑みを向けられて、しかも王子様みたくカッコいい先輩にお姫様抱っこされて……。



もう……もう、ほんとにムリ…………。




なので、おとなしく先輩の首に両手を巻きつけた。

先輩にタテつこうとしたあたしが愚(おろ)かデシタ。





「家、どこ?

このまま送っていくよ」


先輩のハスキーな声が胸から伝わってくる。


「あの二手の分かれた角を左に曲がって、まっすぐのとこです」



「了解~」




周囲からの視線を感じながら、あたしは先輩にすがりついていた。




あ、あの時と同じシチュエーションだ。




ふと思い出したのは、先輩と初めて出逢った時のことだった。