麻生先輩は、その人を忘れようとして、たくさんの女の人と一緒にいたんだ。
だけど、結局忘れられなかった。
麻生先輩の心は、まだ香織さんにあるんだ。
その証拠に、麻生先輩から…………。
『女性らしい女の子が好き』
『弱音を吐かない君の様な娘は嫌い』
『飽きた』って………………言われちゃったんだ。
「あたし……振られちゃった………」
思い出したら胸がズキズキ痛み出す。
目の奥があつくなる。
綺麗な海がぼやけてくる。
せめて……せめて……最後は振られたくなかった。
泡になって消えるその日まで、ずっと……ずっと麻生先輩と一緒にいたかった…………。
「いたかったよぉ………………麻生せんぱぃ…………」
好きな人の名前を口に出したら、もっと苦しくなってしまった。
口の中が苦いものでいっぱいになる。
麻生先輩と付き合えるなら、それだけで十分だと思った。
少しだけでも側にいられたらいいと思っていた。
でも………………。



