おもむろに腕時計を見れば、一瞬気が遠のく。 …………そんな!? 時計の針は、8時丁度を示していた。 ガタン!! 椅子を引き、勢いよく立ち上がる。 そこから先は無我夢中だった。 綺羅さんと百合さんの抱きしめあう姿を目の端でとらえ、 すぐに玄関から飛び出した。 気がつけば、道路を走っていた。 ぼくが気になった手紙の一節。 『海になっても』 とは、このことだったのか!! 手鞠ちゃんはおそらく、白浜海岸にいるだろう。