∮ファースト・ラブ∮


――そうか……。

ぼくが告白を受けた時、

断れば手鞠ちゃんがいなくなると感じたのは……。


これだったんだ。





知らず知らずのうちに、

ぼくは彼女が何者であるかを知っていたんだ――――。




そう思えば、手鞠ちゃんと何かしらの運命というものを感じる。




「……ふたつめは?」

言う、ぼくの声は震えていた。



「ふたつめは……。

恋をした相手と、一ヶ月以内に真実の口づけを交わすこと」


綺羅さんの言葉で、ぼくの体の力が…………抜ける。





「……一ヶ月」



一ヶ月といえば……。



たしか、手鞠ちゃんがぼくに告白してきたのは、

先月の……今日だ。


時間は、たしか…………。



告白の返事をした直後に予鈴が鳴ったのを覚えている。




――8時……25分頃…………。