∮ファースト・ラブ∮






「すっごぃすっごぃ!!

あたし、はじめて授業サボっちゃった!!」



ここは屋上。

五限目を知らせるチャイムはもうすでに鳴り終わっている。




あたしは、ひとりではしゃいでいた。



隣には、紀美子先輩と葛野先輩がいてくれている。


「手鞠ちゃん……」


葛野先輩から、ため息混じりであたしの名前を呼ばれる。

だけど、あたしは葛野先輩の顔を見ない。




……見れないんだ。







柵の向こう。

運動場では、元気にグラウンドを走っている生徒さんたちがいる。



あたしは、はしゃぐのをやめて、じっと彼らを見つめていた。




ぽん。





はしゃぐのを止めた、あたしの頭に大きくてあったかな優しい手が乗った。


やめてほしかったのに…………。



そんな優しくしてほしくなんてなかったのに……。


泣くの……もう、止めようと思ったのに…………。