あたしは今、たしかに麻生先輩を好きな自分を誇れる。


自分を好きになっている。



それが……あたしの愛。




「……………………俺は…………」


「あなたは今、自分が好きですか?


香織さんの隣にいて、自分のことを誇りに思いますか?」




尚吾さんの視線はあたしから外れ、青々と茂った芝生を見つめていた。


芝生を掴む手は、白くなっていた。


とても強く握っているみたい。



まるで――――自分の思っていることを吐き出してはならないと自分に言い聞かせているようだ。



そうだね。

認めるのって、辛いね。

苦しいね。



でもね、それでも、今よりは楽になれるよ。



そして……未来に進めるんだ…………。



あたしには……もう、未来はないけど……でも……尚吾さんたちに、託すことができる。




だから…………進もう?





あなたたたちが進む先を……あたしはずっと見守っているから………。