∮ファースト・ラブ∮






いた!!

正門前、麻生先輩は女子に囲まれていた。



女子、女子、女子!!

先輩の周りには女子が群れになっていた。



やっぱり、先輩はどこにいても目立つんだ。

ましてや正門前。

当たり前か……。


今更ながらに先輩の人気を思い知る。



……どうしよう。

先輩とは帰りたいけど、あの中に入る自信がない。


っていうか、勇気がない。



約束……したけど……でも…………。


ちらりと女子の大群を見れば、一緒に帰りたいっていう思いが粉々になる。




やっぱり無理だ。


見つからないように帰ろう。


先輩には、明日謝ろう。


そうしよう。



先輩はこんなだもん。

許してくれるよね。


二股とか、当たり前な人だし……。

そう思えば、あたしの胸はズキリと痛む。

でも、しょうがない。


そんな先輩を好きになったんだから……。


しょうがないんだ……………。