麻生先輩と話をするたび、近づくたびに欲ばりになっていく自分がいるの……。
もっと会いたい。
もっと話したい。
もっと近づきたい。
もっと……もっと…………。
――そう、思うようになってしまっていた。
だからきっとね、バチがあたったんだと思う。
神さまに、欲張るなって言われたんだ。
そこまで想ってはいけなかったのに……。
実感すれば、涙は目からたくさんあふれてくる。
……ぽたり。
……ぽたり。
とうとう堪えきれなくなった涙は、スカートを握りしめていた手にあたった。
「……あたしじゃ……だめだったの……。
先輩の一番は、あたしじゃない……。
ふえぇぇ……違ったんだよ」
言った自分の言葉でショックを与えてしまう。
「手鞠…………」
悲しそうなお父さんの声が聞こえる。
ダメなのに…………。
大切にしてくれているお父さんを悲しい思いをさせちゃいけないのに……。
だけど、あたしの涙は手の甲でゴシゴシぬぐっても、全然引っ込んでくれないの。



