泣いても泣いても、涙は止まってなんかくれない。
それは、想っていても仕方のない恋だから……。
どれくらいそうしていただろうか、あたしの背中に突然寒気がはしった。
岩陰から顔をひょっこり出せば、周りはもう、お日さまがなくなっていた。
代わりにお月さまが静かな海ごとあたしを照らしている。
帰らなきゃ……。
このまま、ここに居ても仕方ない。
お母さんとお父さんが心配する。
これは……この恋は、あたしの選んだ道。
あたしのわがままでお母さんとお父さんをこれ以上悲しませることはできない。
あと一週間と少しで、あたしの命が終わる。
その時までは、まだ悲しませるわけにはいかない。
ゴシゴシと腕で顔を乱暴に涙をぬぐって立ち上がれば、
あたしに向かって海の風が吹いた。
風はまるで、悲しみを抱くあたしを包もうとやって来るようだった。
もうすぐ。
あたしはこの海になる。
それまで……あたしは……何をすればいいんだろう…………。



