「勝手にしな！！」


紀美子の手がぼくを解放した。


バン！！


同時に大きな音を立ててドアを閉め、彼女もぼくの元から去って行った。




これでいい。

これで――――――。








手鞠ちゃんの心の傷はやがて消える。

ぼくなんかよりも比べ物にならないくらいずっと優しい男の登場で――――――。


苦しむのはぼくだけだ――――――――――。
















その時は、そう思っていた。


だが、それは大きな間違いだった。



そのことに気がついたのは、今からもう少し後になってからのことだ。