ぼくが好きだった大きな宝石のような瞳は輝きを失い、

ぼくが求めて止まない、小さくふっくらとした唇は小刻みに震え、口角は下を向いていた。


かわいらしい眉根は眉間に皺を寄せ、ハの字になって悲しそうに見つめてくる。



涙が……桃色の頬を伝って地面へと流れていくのを見ると、どうしようもなく胸が痛めつけられた。

心臓に穴が開いたような、喪失感が生まれた。





「久遠?」



目をあければ、名も知らない彼女がぼくの噛みしめた唇を人差し指でなぞってくる。


どうやら、彼女は続きをご所望らしい。




だが、ぼくは――――――。



「ごめん。

今日はこれで……」

パシン!!


『これで終わりにしよう』

そう言うために口を開ければ、右の頬に痛みを感じた。


どうやらぼくは、彼女にぶたれたらしい。



「ふざけないでよ!!

あんたがここへ呼んだのに、もう止めたい?

はん!!

こっちから願い下げだっつーの!!」



彼女は服を元に戻すよりも早くぼくから離れたかったのだろう。

椅子にかけてあるブレザーを取ると、すぐに立ち去った。