やだ。
いやだ。
麻生先輩じゃなきゃいや!!
他の人となんて、したくないよ!!
「……手鞠ちゃん」
とうとう身動きができなくなって目をつむれば、誰かがあたしを呼ぶ声が聞こえた。
「ちっ」
舌打ちと一緒にあたしの体は痛みから解放された。
同時に体は地面へと激突しそうになる。
「手鞠ちゃん!!」
気のせいかな。
麻生先輩の声が聞こえるの。
閉じていた目をそっとあければ…………。
「手鞠ちゃん!!」
そこには眉をおでこの中心に寄せている、心配そうな……大好きな麻生先輩の顔があった。
「あ……そ……せ……ぱ……」
怖くて震える唇から声を振り絞って出した言葉は、とても小さなものだった。
「手鞠ちゃん……」
あ…………。
麻生先輩は、震えるあたしの体を強く抱きしめてくれた。



