尚吾は、俺が手鞠ちゃんを想っていることを感づいたのか?
『女の趣味が変わった』
たしかに、尚吾はそう言った。
手鞠ちゃんが……傷つけられる。
そんな…………そんなことは、もうたくさんだ。
ぼくは、今という時を逸らすようにして目を閉じた。
目を閉じれば、一点の光さえも見えない闇の中だった。
まるで、今のぼくを暗示しているようだ。
手鞠ちゃんを……尚吾から守らなければならない。
くそっ!!
尚吾……お前はどこに行った?
落ち着け……落ち着け久遠。
ぼくが尚吾なら……手鞠ちゃんをどこに連れて行く?
ぼくに知らせたいなら……一旦、目のつくところへと行動し、他の生徒や先生に姿を見られないような場所へと向かうだろう。
だったら……今、ぼくが目に付く場所……それは…………。
ここは一階だ。
そして、側には、グラウンドが見える大きな窓が連なっている。
目に付きやすい場所…………。
「!!」
グラウンドか!?



