けれど、そんな彼女に惹かれた。





決して自分を欺(あざむ)かない。

揺るがない強さ。


しかし、その中に脆(もろ)さもある。


泣きそうな彼女は守ってやりたくなるし、支えていきたくなる。


だが同時に、ふと気がつけば、そんな彼女に支えられてもらってもいる。





そんな彼女が愛おしい。




この感情はやがてとてつもなく大きなものになると理解している。


今のうちに対処しておかなければならない。



……あともう少し……もう少しと思ってしまう。




「あ、あの!!

せんぱ……」


ぼくの腕の中。


いつもはっきり言葉を話す彼女にしてはやや控えめな口調が出てきた。



「何?」


「あ、あの……あの……」

口をモゴモゴさせて何かを言いたがっている彼女のその姿さえも愛おしい。


「何?」


続きを聞きたくて、促せば、「あの…………」

そう言って、また口を閉ざす。