愛しき人

うちの課に研修に来た時、面白いやつだと思った。

最終日の課題提出の際、他の3人とは違った課題をやらせ、何度も修正をさせた。

こいつをうちの課にほしい。そう思わせる態度だった。それは本当に仕事のことだけだった・・・


うちの課は、割合と会社の中でも重要なポストで、新人の配置にはかなり、審査が厳しい。いわゆる、社内でもエリート部署になる。

新人の配置に関しては、各課の課長が集まり、いわゆる、この子がほしいとやるわけだ・・・

オレが、気になった片瀬は他の部署からもほしがられていた。絶対にほしい。そう思っていたオレは切り札を出した。

「これが、片瀬くんが研修時に作ったものです。これだけのものを作れるならば、うちの課で即戦力として期待できます。うちの課で片瀬くんをあずからせてください。」

これを言うと、他のお偉いさんは何も言えない。分っていた。そのために、片瀬には研修時に作らせておいたのだ・・・・


配属の発表をした・・・

「企画開発部・・・片瀬さん、藤堂さん・・・」


片瀬本人は「えっ」って顔をしていた。そしてとても嫌そうな表情だった。

それはそうだろう。研修中は鬼のように対応していたから・・・・


そして、もう一人に新人を主任に任せ、片瀬の教育かかりにオレがなった。


思っていた通り、片瀬は仕事を覚えるのが早く、頭がやわらかい。
仕事の飲みこみの良いので、頼める仕事が増えていった・・・・




そんな時、片瀬の様子が少しおかしいのに気がついた・・・・


片瀬の様子がおかしいから、飲みに誘った。そしたら、こいつ彼氏のことで、悩んでいた。

こんなに頑張っている子になんて扱いをするんだ。

オレは、片瀬から話を聞くと、
片瀬に、「お前はいい女だ」と伝えた。

それは、純粋に仕事に対するものだと思っていたから。