モノクローム

 

先生は廊下側から二列目の最後尾を指差した。近づいてみると、新品であることがわかる。


私のために置いてくれたのかな。



「連絡事項はとくにはない。以上」



私の紹介をするためだけのホームルームってわけかい。


机に頬杖をつきながらため息を出すと、横目で、教室の後ろのドアが開くのが見えた。


目だけを向けてみると、制服を着た男たちが三人。



「遅刻常連三人組か。この時間にくるのは珍しいな」



先生の呟きを無視して、三人は私の左隣の席、その奥、左斜め前にそれぞれ座った。


……隣かぁ。



「柊。お前から見て右隣の奴は転校生だ。なにかあれば教えてやれ」


「はい」



柊、ね。


先生は用がすんだらさっさと廊下に出てしまった。タバコかな。イメージ的に吸ってそうだし。



「初めまして」


「あ、初めまして」



柊くんが、ご丁寧にも挨拶してくれた。遅刻するようには見えないけどなぁ。



「僕は柊 紫苑(ひいらぎ しおん)といいます。このクラスの委員長をしてます。わからないことがあれば聞いてください」


「御津村 結縁です。ありがとうございます」

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