引き戸を開けて、先生は今日室内に入った。男子たちの声はより鮮明に聞こえ、下品な笑いが耳を突く。
何も言われなかったし、もう入ってもいいのかな……。
私は少し尻込みしたものの、そ知らぬ顔を保ちながら教室内に足をすすめた。
瞬間。多くの視線が向けられていることに気付く。
見渡してみれば、なんと女子の少ないことか。男子は二十人近くはいるのに対し、女子は一桁。六人だ。
しかも派手。
「岩ちゃん! その子てんこーせー!?」
「岩瀬先生と呼べ。説明がほしければ全員席に座れ」
「転校生ちゃんはろー!」
「座れって言ってんのが聞こえねぇのかー、あー?」
あー、ってなんですか先生。
はろーと言ってきた男子生徒は、笑いながら自分の席らしきところに座った。
これがこのクラスの日常なのかな。
「連絡事項は後だ。大体の奴が気になってることだろうし、転校生について先に済ませるとする。はい、自己紹介よろしく」
「御津村 結縁」
みんなの呆気にとられている顔で笑いそうになる。間抜け面だなぁ。
こんな自己紹介じゃ、意外すぎるとかかな。
「……あー、まぁあれだ、席は……あの落書きされてない奴」
「はい」
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