モノクローム

 

「じゃ、ホームルームの時間になるまでちょっと待っててくれ。お茶入れてきてやっから」



立ち上がった先生は、冷たい麦茶を持ってきてくれた。


私は何もすることがなく、運良くカバンの中に入っていた本を読みながら、時間が経つのを待った。


何度か読んだことのある本は、内容を記憶してしまっていてそこまでおもしろくない。


文字を読むのがめんどくさくて、会話文のところだけ読んでしまう。


半分ぐらい読んだところで、岩瀬先生に声をかけられた。



「そろそろ教室に行くぞ」


「はい」



名簿らしきものを持ち、岩瀬先生は前を歩いた。


私は本をカバンの中に戻し、置いていかれないようについていく。


どんな人たちがいるのだろうか。


昨日会った……確か飯塚だったと思う子は同じクラスなのだろうか。


知り合いとかいたりするのだろうか。


転校初日は、みんなが思うであろうことを考え、内心は緊張と期待があった。


無茶をしてボロボロになった校舎を歩き、階段を上り、また歩き、2年C組と書かれたプレートを見つけた。


中は……男子生徒の声しかしない。

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