戸締まりはOK。忘れ物もないよね。
ワゴン車の二列目には私とキング、それと猫三匹。助手席に紫苑が乗り、運転手の笹原さんは車を発進させた。
到着までの間、紫苑にアジトの構成や住んでいる人について聞いた。
『影炎』に所属している人たちは幹部を初めとして、ほぼアジトに住んでいる。
大体の理由はさまざまだが、家族に被害が行かないようにだとか、家が特定されないようにだとか、そもそも家族と仲が悪いからだとか。
だから、基本的に家族の話はタブーらしい。
まぁ、気にもならないと思うけど。
車を走らせて30分ぐらい。ようやくアジトに着いたようだ。
敷地は広く、よく倉庫と言われるようなものが沢山あり、塀に囲まれていた。
車から降りると、奏多くんたちがお出迎えしてくれた。
「ユエちゃんさっきぶり!」
「そだね」
掃除をしてから鏡を見ていないのか、髪にゴミや埃が少しついていた。
どんだけ汚れてたんだ。
「まず、荷物を御津村さんの部屋に運びます。隼人は段ボール運ぶの手伝ってください。奏多はケージを。社央は車の中で寝てる理央を起こして部屋に連れてってください」
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