流し台においてから、インターホンに付いてるカメラで相手を確認。
小走りで玄関まで行ってドアを開ける。
「や」
「さっきぶりです」
「他のみんなはいないの?」
「アジトで待ってます。結縁さんの部屋以外は散らかっているので」
つまり片付けをしていると。
立ち話も何なので、リビングに来てもらった。
私と同じように流しに食器を運んでくれたキングが、紫苑にかけよる。
「おう。こいつの引っ越しな――」
「却下です」
……たぶん、こうなることわかってたから、紫苑がきたんだろうな。
キングはだだっ子みたいに抗議してるし。
二人を放置して、私は諦めて部屋へ荷造りをしに行こう。
「とは言っても……」
とりあえず衣類、教材、日用品……はせっかくだし買い替えようかな。あとパソコン、ぐらいか。
普段から整理する性格で助かった。
潰した段ボールをもう一度組み立て、服は服、本は本でまとめて入れる。
大体三箱で十分かな。
「終わったよ。荷物運ぶの手伝ってもらってもいい?」
「はい。上ですね」
キングが不機嫌だから、説得は失敗したんだな。
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