モノクローム

 

たぶん、声的にあの見かけ中学生の金髪くん。


やり返してやろうかと思ったけど、彼が来たのと愉快な言葉にその気が失せてしまった。



「迷子のお呼び出しを申し上げまーす。女子トイレに滞在中のー御津村 結縁ちゃーん。至急、僕のところまで来てくださーい」


「なんでここに……奏太くんが……!?」



六人の中でも、麻子という子が一番焦っている。


そりゃあそうだよな。


自分の盛大な告白を意中の人に聞かれてたかもしれないんだから。……おまけに失態も。



「あ、僕ねー、僕のことを好きって言ってくれる子は好きだよー」


「あのっ、かな――」


「でも、僕の好きな人をいじめる人は嫌いなんだぁ。だから、」





―――僕の名前、呼ばないでくれる?





トイレだということも忘れてしまったのか、麻子はその場で泣き崩れてしまった。


慰めの言葉もかけられない中、麻子の背中に手を掛けるもの、一緒にしゃがむもの、目を背けるもの、私を睨むもの。さまざまだ。



「ユエちゃーん。僕も女子トイレの前でずっと待ってるのはなかなかきついものがあるんだけどなー」


「あ、はい。今行きます」

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