「なんでてめェがここにいんッ、つあぁぁぁ」
「動くと傷口開きますよ。大人しくしていてください」
「だ、れがお前の言うこと聞くか!」
「静かにしてろ、動くな、喋るな」
「隼人!? ……クソっ!」
新谷くんの言うことには逆らえないみたいね。飼い主と犬みたい。
不貞腐れてしまったキングは両手を組んで頭の下へ持っていき、ふて寝する気かもしれない。
消毒しているところをちらっと見たけど、傷口は閉じてきている。
でも、まだ動くわけにはいかないわね。
私は、新谷くんから巻き方がわからなそうにして手に持っている包帯を受け取り、キングの傷口あたりに巻く。
そこでもやはりキングは大人しくしているし、やはり犬だと思う。
「傷口は塞がってきてます。でも、今日一日は安静にしていてください。まだ完全に塞がっているわけではないので。
今日、お昼に帰ってきます。その時の傷の具合でまた判断しましょう」
「…………ここ、お前ん家か」
「そうですよ」
「けっ、わぁったよ」
反抗するとまた新谷くんに言い静められると思ったのか、キングは異論を唱えなかった。
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