モノクローム

 

隣接しているリビングとキッチン。三人は何もしゃべっていなかった。


お盆にのせた麦茶を三人に渡す。


そうしてから、足元のタルトを抱き上げ、膝にのせる。


六人掛けのテーブルで、三対一で座っているため、タルトのことは見えていないようだ。


全員沈んでるし。



「何を沈んでいるんですか? あの人の怪我を悔やんでいるんですか?」


「あっ、いや……」


「……そう、だよっ」



否定にはならない否定をした柊くんのあとに、新谷くんが悔しそうに肯定した。



「喧嘩を吹っかけられたから、いつもどおり余裕で勝つはずだったのに……もっと強ければ、理央は怪我しなかった……」



悔しそうに、責めるように紡ぐ言葉は、誰に向けられているんだろう。


間違いなく、彼自身だ。


でも、そう思っているのは柊くんも名島 社央くんも同じらしい。


…………まぁ、若いわね。



「強ければ、って言ったけど、あなたたちが強くなってどうなるんですか?」


「はっ……?」


「……理央を、助けられた」



新谷くんに向けたつもりだったけど、初めて名島 社央くんが答えてくれた。


しかし、やはり若すぎる。

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