モノクローム

 

「みんなおっはよー!」

「おや」



飯塚くんが、私の手を掴んでいるのと逆の手を挙げた。


その歩いている先には、クラスで見た人たちと、また知らない人。



「奏太。拉致ですか?」


「違うしっ! しーちゃんたちのクラスにいったらユエちゃんがいたから誘っただけだよ!」



しーちゃん、つまり柊くんは、茶色いサラサラな髪をなびかせ、飯塚くんを軽くからかった。


ちょっと意地悪なお兄さんみたいな感じだな。



「おい奏太。誰だその女」



見覚えのない、偉そうな奴が低い声を出した。


タバコをくわえ、赤い髪を無造作にセットしたこの男は、いかにも俺様タイプ。


めんどくさそー……。



「りっちゃん、そういうこと言わないの! ユエちゃんは僕のお友達ーっ!」


「はっ! 何がオトモダチだよ。おい女ァ。俺に近よんじゃねぇぞ」



こういうタイプは本当にめんどくさい。


話すのもめんどくさいのでシカトとしよう。



「俺様をシカトするとはいい度胸じゃねェか……」



……返事ぐらいはしておくべきだったかな……。

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