ここらで有名な族は『影炎(エイエン)』と『霧(ミスト)』と『雷御(ライオン)』だったはず。
『影炎』は族というだけでいいイメージは持たれていないけど、私からしたら族の中でもいいほうだと思う。
喧嘩はするが、理由もなくというわけじゃないし、クスリには手を出していないと言うし、何より一般人を巻き込まない。
『雷御』は誰彼構わずらしいからな。あそこほど極悪非道なチームも珍しい。
そして『霧』は……その名の通り、霧のような存在だ。あるのかないのかわからないが、名前だけは確かに存在しているし。
族にはできるかぎり関わらないようにしよう。
まずは数学だ。
「席に着いてください。あ、転校生の方はどこですか?」
ひょろい先生だった。
私は教材を貰いに席を立ち、そして戻ってきた。
結局、柊くんが出してくれた教材は使わなくてよさそうだ。ちょっと可哀想だがな。
「ふぁ……ぁ」
いつの間にか寝てしまったらしい。
数学はまるで先生の独り言のような授業だったし、何より高一の頃にやった内容だった。
つまりつまらなかった。
.
