「いいえ。一限は数学です。教材はお持ちですか?」
「先生が持ってきてくれることになっています」
「じゃあおそらくは大丈夫ですね。仮に先生が忘れた場合、僕のを使ってください。机の上に置いておきますので」
「柊くんは使わないの?」
まさかさぼるつもりか。
優等生っぽいのにぁ。人は見かけにはよらないな。
「僕はこの二人と別の場所に行きます」
柊くんは一緒に来た二人指差した。
金髪よりもオレンジに近い髪をしたツンツン、ピアスじゃらじゃらな奴。
黒髪を軽くセットした、なんか威厳のある奴。
「じゃあもしものときは貸してもらいます。ありがとうございます」
「いえいえ。では」
柊くんはその二人に声をかけ、本当にどこか行ってしまった。
いいなぁ、とは思いながらも、初日ぐらいはちゃんと受けようとさぼるのは我慢した。
せっかく教材を出しておいてくれたんだしね。使わないかもだけど。
「…………族、かな」
柊くんはともかく、他の二人はどこかしら入ってそうだな。
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