目の前にある一軒家の 表札には確かに“高梨”と、 力強く堀こまれている。 意外と大きいんだ……。 「ほら、入れ」 慣れた手つきで、ドアの鍵を開ける高梨。 「いや、あたしはここで…」 「は?なに行ってんの?お前いないと俺死ぬって」 背を向けて帰ろうとしたとき、 高梨君はまたあたしの腕を掴んだ。 「え!?正気!?帰るよ!!」 「正気だわ!!泊まれ!」 「やだ!」 「泊まれ!」 「やだ!!」 「泊まれ!!!」 「やだー!!!!!」