実は先ほどまで、「こういう事は女がやるもんだろう」的な雰囲気だったのだが、


八野がそれを「性差別だ」と真っ向から反対し、


蝶子も「これからずっと、毎食目玉焼きだけでもいいですか」と言い出すし、


……十二愛に至っては、彼女にキッチンに立てと言える人間がいなかった。


昨夜も、散々嫌がるのを無理矢理食堂に連れ出し、やっと食事をさせた始末だった。


彼女は、やはり僕以外のメンバーに対して萎縮してしまっているようで、ずっと青白い顔で、下を向いていた。
 


仕方なく、出来ないなりに僕も何かやってみようとキッチンに行った。


……とはいえ、豊富な食材を前に、僕も何をしたらいいのか分からず、唯一作れるカレーでもと思ったのだった。


そこに、ファニーペインが、「俺もやる」と名乗り出てくれたのだった。