【十の瞳】




すると、彼女の表情が、わずかに変化した。



「ん? ちょっと待って……」
 

蝶子が、何かを思い出そうとして、眉根を寄せた。



「だから、何も引っ叩こうとか、咎めるつもりなんて、こっちにも無いのよ! 


でも、こんな非常事態なのよ? 


責任者が出て来ないでどうするのよ」
 

八野が、ひと際甲高い声で喚いた。
 

さすがに、他のメンバー達も、その迫力に引いてしまっている。
 

しかし、八野では埒が明かないと思ってか、えどがぁさんが割って入り、質問を始めた。



「藤浦さん、もしかしてマスターは、この屋敷にはいらっしゃられないんですか?」


「いえ、離れの自室におられるはずです」


「なら、状況が状況ですし、私達を招待した以上、責任はマスターにあるはずです。


多少なりとも、出てくるのが筋というものでは……?」