その後、村におかしな事が起こり始めた。
畑や家畜が『何か』に喰い荒らされ、そのうち子供が一人、いなくなった。
山狩りも行なわれたが、子供は見付からない。
更に天変地異的な異常気象により、雨が何日も降り続けた。
作物は根腐れし、村はずれの家が数軒、崩れてきた山に呑みこまれた。
そのうちもう一人、もう一人といなくなり、遂には落ち武者の祟りだと村は大騒ぎになった。
村人たちは、彼らの亡骸を無造作に討ち棄てた場所に、立派な塚を立て供養した。
しかし、行方不明者は見付からず、今度は若い娘も一人ずつ減っていく始末だった。
ある日の夜、逢引きに行った村の男が、頭に角の生えた姫と遭遇した。
彼女は醜い牙を生やし、彼が会うはずだった村娘を喰い殺している最中だったという。
真赤な瞳にじっと見詰められた彼は恐怖に飛び上がり、大慌てで村の長の家に逃げ込んだ。
彼の進言で、すぐさま鬼退治が始まった。
しかし、それ以降鬼の姫は姿を見せず、退治は難航した。
代わりに、鬼の喰い残しと思われる、腐りかけの人体の一部が何度か見付かったという。



