十二愛は、コロを見ずに言った。


「コロ、私たち、応接室に、行かなくちゃ……」


コロは、十二愛に手を伸ばしかけてやめる。


彼女の、ほどけかけた髪に触れようとして、思いとどまり、手を下ろした。


「……犯人が、分かったの」
 

重い空気が流れた。
 

コロは何も言わない。
 

十二愛も、ここで知らせるべきことはすでに告げた。
 


やがて息苦しさに耐えかねて、十二愛はそっとコロの様子を窺った。


それに気づいたコロは驚くそぶりも見せず、ただ静かに微笑むと、


「そっか……」
 

ゆっくりと頷いてみせた。
 


その、コロの態度のやわらかさに、十二愛は途轍もない罪悪感と不安に襲われる。
 


死刑執行人のような気持ちで、彼女は断言した。