「ちち、違いますぅ……! 


僕が見た時にはもう、壊れていてですね……!」


「ファニー!」
 

昂った彼を、無理矢理引き剥がす。


騒ぎを聞き付けて戻ってきたえどがぁさんも、ラジオが壊されていたという報を受けると、露骨に愕然となった。


動揺を、隠そうともしなかった。



「……人を殺したり、電話線を切ったりするような奴だ……ラジオだって、壊すさ」

 

でも、たった一台切りのラジオだった。


しかし、アンテナをもぎ取られたラジオは、二度と電波を拾う事はないだろう。
 

ただ、ショックでいつまでも止まっているわけにもいかず、各々の作業は再開された。
 


応接室には、続々と物が集まってくる。
 


他の部屋にあったソファーや椅子が手当たり次第に運び込まれ、壁伝いに置かれる。
 



その上に、シーツや薄掛けが重ねられ、即席のベッドになった。