僕は今日、平三郎の死体を別の場所に移したのだと彼女に伝えた。


「――死んだ彼には悪いけど一応、これが一つの区切りにはなったんじゃないか、と思うよ……」


「平三郎で、最後かな……?」
 

十二愛は、不吉な事を言った。


「もしかしたら、マスターが殺されて、その死体が隠されている可能性だってあるよ……」



「でも、まだマスターが死んでいると決まったわけじゃ……」


「そうだね……ごめん、忘れて」
 


十二愛はぎゅっと目を閉じて、伸びをした。
 


猫みたいなその仕草に、つい笑みが零れる。
 


あどけない十二愛。
 

彼女は、この世の汚いものに、何一つ染まっていない気がした。
 


こんなふうに、二人でずっといられたらと思う。



――だが、悲劇は終わらなかった。