【短編】辛辣彼氏





サドとかそういうものじゃないんです。




試しにわたしも陵駕の悪口を言うと、あの人笑顔でわたしの頭を掴み、すっごい力で握るんですよ。




もうあの時は頭萎んだかと思ったし…




サドなら普通打たれ弱いんじゃないの!?とか思ってたのが仇となった。





俺様かもとも思ったけど、そもそも俺様ってどういうことと思ったわたしはゴーイングマイウェイみたいな人かな?と理解することにした。




でも、陵駕は全然俺様ではなかったのである。




デートのときは必ずわたしの意見を取り入れてくれるし、歩くときもわたしが遅かったら速度を落としてくれる。




意外と紳士的な面もある。




でもやっぱり言葉で何もかもぶち壊しになる。




いっそあの口を縫ってやろうかと何度も思ったが、そしたら陵駕のあの甘い声が聞けなくなってしまうと思い、断念した。




こんな酷くて辛辣度120%のわたしの彼氏様ですが、わたしはそんな彼のことすっごくすっごく好きなんです。




付き合い始めたころは何度も嫌いになってやるーーと思ったが、やっぱりそれは無理で、この間のデートのときも不注意で噴水に落っこちてしまったわたしを助けもせず腹をかかえて笑ってる姿を見て、わたしはその子供のような笑顔にきゅんとしました。




わたし、この人のためなら何百回でも噴水に落ちてもいいと思ってしまうほどです。





重症です。